2010年12月11日

秋津遺跡はどのような氏族の遺構か

秋津遺跡の性格を解明するには、先ず葛城の歴史を知る必要がある。

葛城の歴史は古い。
神武が大和朝廷を樹立する以前の歴史から語らねばならない。

今ここに葛城の地とかかわる氏族の系譜の一部を提示する。
日本書紀が神代とする時代までさかのぼり、どこまでが史実か確定しがたい。
したがって人物の世代位地等に不合理な点もあり、疑問もあるが大雑把な歴史として捉える。

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その一は神武や饒速日という天孫族が、大和に進出する前に、大和の支配者であった地祇と称される、大国主や事代主の一族である。

その二は神武が大和朝廷を樹立した時、この地の国造になった葛城氏である。

その三は大和朝廷が成立した頃この地に進出し、国造家の葛城氏と深く関わる尾張氏である。

最初にこの地に進出した大国主の流れ


 神武が奈良盆地を制圧し、大和王権を樹立する前に、この地へ早くに進出した王権が在る。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)に始まり大国主命そして事代主(ことしろぬし)へと続く勢力である。
すなわち出雲から起こったと思われる勢力で、この勢力は日本列島の広い範囲を支配地とするが、その後天孫族に支配権を奪われる。いわゆる国譲り神話である。
この一族の大国主命の児、八重事代主や味鋤高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)が葛城の地に居たと思われる。それは鴨族とも鴨王とも称される。

神武が奈良盆地を制圧する前に、事代主が陶津耳命(すえつみみのみこと・三島溝杭耳命)の娘、玉櫛媛(たまくしひめ)を娶り生まれた子どもが、媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)や五十鈴依媛命(いすずよりひめのみこと)で、前者が神武、後者が綏靖(すいぜい)の皇后となる。

葛城でこの一族が奉祭した神社は、鴨都波神社(かもつばじんじゃ)、高鴨神社(たかかもじんじゃ)、御歳神社(みとしじんじゃ)である。
鴨都波神社は、この一族の4世紀初め頃の人、大鴨積命(おおかもつみのみこと)によって創建されたとする。
そして大鴨積命の兄、大部主命の流れを汲むのが、三輪神社の神官家である大神氏(おおみわし)である。



剣根に始まる葛城国造

次に葛城国造となる一族が在る。
祖神を高皇産霊神(たかみむすびのかみ・高魂命)とし、元々は摂津三島、すなわち現在の大阪府摂津市あたりを本拠地とした一族である。

神武が大和朝廷を樹立した時、この一族の剣根命(つるぎねのみこと)が葛城国造に任じられる。
したがってこの一族が葛城に進出するのは大和朝廷の成立を期にしてである。

先に述べたように、この一族の陶津耳命の児、玉櫛媛と事代主の児が神武の皇后、媛蹈鞴五十鈴媛命なのである。

大和王権と密接に絡む尾張氏


 そしてこの葛城国造と深く関わるのが、尾張氏である。
尾張氏も神武以前の段階では、この地にかかわりは無い。この地と関わりを持つようになるのは、天忍男命(あめのおしおのみこと)や天忍人命(あめのおしひとのみこと)からであろう。天忍男命が葛城国造、剣根の娘賀奈良知姫(かならちひめ)を娶る。その後も尾張氏は葛城国造家の女を妻とする。

この一族から五代孝昭の皇后、世襲足媛(よそたらしひめ)が出る。
先代旧事本紀によれば世襲足媛(よそたらしひめ)の兄、瀛津世襲(おきつよそ)を葛木彦とも称し、孝昭の時代大連となったとする。

更に孝昭の皇子天足国押人命(あまたらしくにおしひとのみこと)の妻が、尾張氏の宇那比姫(うなびひめ)である。
そして九代開化の妃、竹野媛は尾張氏の建諸隅命(たけもろずみのみこと)の娘である。

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このように孝昭から開化に至るまで、尾張氏は大和王権と密接に関係する。むしろ大和王権と尾張氏が一体とさえ思われる。

秋津遺跡は大和王権と尾張氏の遺構

五代孝昭の掖上池心宮(わきがみいけごころのみや)伝承地は、秋津遺跡の北2kmほどの「よもんばら、あるいはよもぎ原」と呼ばれるあたりとされる。
そして六代孝安の秋津嶋宮が在ったとされる室(むろ)と呼ばれる地域は、ここ秋津遺跡の出土地近辺である。その秋津嶋宮伝承地から今特異な建物群が出土したのである。橿考研はこの遺構の年代を古墳時代前期とするが、秋津嶋宮と無関係であるとは思われない。
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